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Jul 04, 2006

Ejovi Nuwere (イジョビ・ヌーワー)氏の原告準備書面6

平成16年(ワ)第24723号 損害賠償請求事件
原 告 Ejovi Nuwere(イジョヴィ・ヌーワー)
被 告 国

原告準備書面(6)

2006年(平成18年)7月3日

東京地方裁判所民事第37部合A係  御 中

原告訴訟代理人弁護士 清  水   勉

1 はじめに
 被告の準備書面(6)では、原告準備書面(5)中の本件取扱要領第4条第4項第2号違反に関する主張のみについて反論しているので、この点について以下再反論する。
なお、原告は、原告準備書面(5)15頁(3)において、「本件取扱要領第4条第2号」と記述したが、「本件取扱要領第4条第4項第2号」の誤りであるので、訂正する。

2 「意見交換」ではない
被告は、「平成16年11月9日の指摘は、・・・高村課長補佐が、まずは事実関係や主催者の意向を確認する必要があると考えて主催者に連絡し、意見交換したものであり、これは本件要領4条4項1号に規定する注意を行ったものである。」と主張する。意見交換であって勧告ではない、というわけである。
しかし、被告の「まずは・・・意見交換」だったという説明は、事実関係として虚偽である。
意見交換というものは文字通り、お互いが対等な立場でそれぞれの意見を出し合い、お互いの考えを理解しあい、意見調整をしてゆく手法である。本件の場合、高村課長補佐と同人に呼び出された里吉、内田は対等な立場で意見交換する関係にはないし、そのような状況でもなかった。
高村課長補佐が里吉らに原告の講演内容について問題点を指摘したのは、原告が講演する予定だった11月12日の3日前の同月9日である。このような切羽詰った時期に、「まずは」「意見交換」をしようとしたということ自体、信じがたいのんびりした動きである。ここには講演者に迷惑がかかることへの配慮がまったくない。講演が実現できなくなっても知ったことではないという態度である。
被告は答弁書においてすでに、「訴外佐藤が、総務省はパクセック実行委員会が平成16年11月9日に総務省に持参した講演資料の最後の4枚を削る方法で講演するならば差し支えないと述べているという趣旨の発言をし」(5頁)という認否をしていた。11月9日の高村課長補佐の発言内容は一方的な通告であって、里吉らとの意見交換ではない。
そのことは、被告準備書面(1)の第1−2(5)(6)(5〜7頁)においてより一層鮮明になっている。SIDCがネットワークセキュリティに関する基本的な理解をしている会社であるならば、専門企業として、ここで高村課長補佐が指摘しているような懸念については心配いらないことを容易に説明できたはずであるのに、まったくしていない。これは「説明できない」からではなく、「説明しても無駄であることをわかっていた」からである。もともと、国の行政機関等から仕事を貰っている企業と官僚との力関係は歴然たるものがある。官僚の発言内容がいくら稚拙であっても、そのことを指摘し説得することなど、およそ企業にできることではない。ましてや本件におけるSIDCのように官僚を騙していた立場の企業としては、総務省=高村課長補佐の言葉は絶対的に従わざるを得ないものである。
11月9日の高村課長補佐と里吉・内田のやりとりは意見交換などというものではなく、高村課長補佐から里吉・内田に対する指示である。指示に従わなければ、総務省が後援から降りてしまうという危機的状況にあった。これは勧告そのものである。

3 適切なものへの修正
 被告は、「里吉らが、原告と打合せをして、内容を適切なものに修正させると述べるなどしていたことから、・・・本件要領4条4項2号に定める勧告を行うまでの必要は見受けられなかった」(3頁)と主張する。
 しかし、主催者が講演者の講演内容に自由に容喙できるなどという社会常識がそもそも存在しない。講演内容に関する批判が講演者に来るか主催者に来るかはそのときどきの事情によるが、基本的には講演者が自分の責任に行うものである。それまで原告に1度も会ったことのない里吉らが、外国のゲストスピーカーである原告の講演内容を修正させる(修正を命じる)ことなどできるはずがない。
 「内容を適切なものに修正させる」と言ったとしても、実際にどのようにすることが内容を適切なものにしたことになるのかは、具体的に詰めておかないと、総務省、主催者、原告の三者間で認識が合致しなくなるおそれがある。準備書面(5)で指摘したように、SIDC関係者は共同主催者であるドラゴスにはまったく相談しないで独断で高村課長補佐の要求を受け入れているのであるから、尚更のこと、高村課長補佐が適切な内容を明確にして提示しないかぎり、短時間のうちに主催者と原告の間で迅速的確に対応することはできない。
現にドラゴスは、高村課長補佐の要求に応じること自体に反発しており、SIDC関係者とはまったく認識を異にしている。
原告は、里吉らの説明を聞いて修正したつもりが、最初のものより更に悪くなったと指摘されている。このような事態になるのは、高村課長補佐の指摘が曖昧だからである。講演まで2日間余しかないという時期に、文書で問題点を指摘せず、口頭で指摘することは、第4条第4項第2号の規定を潜脱するものである。

4 「文書」による勧告
 本件取扱要領が、「文書により勧告すること」と明記しているのは、行政機関の意思を明確にすることにより、勧告された側が迅速かつ的確に対応できるようにすることと、行政機関の恣意を抑制することにある。
後者は、文書によらないと、結局のところ、言った、言わない、というレベルの話になってしまい、恣意的な指示を立証する責任が原告側にあるとすると、ほとんど立証不可能となり、行政機関の恣意を放置することになる。このような事態をなくするために、文書によることとしたものである。
 それを、講演3日前に文書によらないで行った指示を「意見交換」と表現すれば、勧告ではないとして、文書によらなくてよいとしてしまうならば、行政機関は今後も勧告はしないで、「意見交換」をしていればよいということになる。これでは文書による勧告義務の潜脱を許すのと同じである。
 高村課長補佐の指示は、文書により勧告すべきものを文書によらなかった重大な手続違反があるというべきである。
以上

Posted by Gohsuke Takama on July 4, 2006 at 05:01 PM | Permalink

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