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Nov 22, 2004

Ejovi Nuwere (イジョビ・ヌーワー)氏、総務省を表現の自由の侵害で提訴

今日のEjovi Nuwere (イジョビ・ヌーワー)氏の提訴発表プレスコンファレンスの録音です。(54分)

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声明

Ejovi Nuwere(イジョビ・ヌーワー)
2004年11月22日

 まず最初に私が言いたいことは、この訴訟はコンピュータ技術やハッキングに関するものではないということです。この訴訟のすべては言論の自由に関するものです。
 10日前に都内で開催された国際シンポジウムにおける私の発表は、総務省によって検閲されました。私はこのシンポジウムで、総務省とは意見を異にするかもしれない調査研究を発表する予定でした。これに対して、総務省は、直接私と会って彼らの懸念する事柄を解決しようとしないで、主催者に私の発表をキャンセルさせることを強いました。彼らが行ったことは、最も典型的な検閲でした。
 総務省には、日本の国民か否かに関わりなく、いかなる人々に対しても「話してはならない」という権利はありません。私たちにはだれもが、政府の監督の影響を受けずに自由に、自分たち自身で考え、自分たちの意見を話す権利が与えられているはずです。

 私には沈黙するという選択肢もありましたが、そうすることは声を上げようとしている他の人々にとって悪しき先例になると同時に、検閲をしようとする者への励ましとなることです。私は総務省の妨害行為を見過ごすことができません。
 この訴訟は政治活動のためのものではありません。民主主義とオープンな対話を促進するためのものです。



Statement

Ejovi Nuwere
November 22, 2004

First I should say that this lawsuit has nothing to do with technology or hacking. It has everything to do with freedom of speech. My presentation 10days ago at an international symposium in Tokyo was censored by Soumushou. I planned to present research at this symposium that the government might have disagreed with. However Instead of meeting with me directly and trying to resolve their concerns Soumushou forced the organizers to cancel my talk. What they did was censorship in its most basic form. Soumushou has no right to tell anyone citizen or non-citizen that they can not speak. We should all be entitled to think and speak our own opinion free from government oversight.

I could have chosen to remain silent but by doing so I would become be a poor example to others who wish to speak out and an encouragement to those who wish to censor. My conscious can not permit me to allow this to go unchallenged. This is not about activism it is about democracy and encouraging open dialogue.



訴状

2004年(平成16年)11月22日

東京地方裁判所民事部 御中

原告訴訟代理人弁護士  清水 勉

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

損害賠償請求事件
訴訟物の価額  金3000万円
貼用印紙額   金110,000円

第1 請求の趣旨
1 被告は原告に対し、金3000万円及び2004年(平成16年)11月13日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え
2 訴訟費用は被告の負担とする
との判決並びに1につき仮執行宣言を求める。

第2 請求の原因
1 当事者
(1)原告
原告イジョヴィ・ヌーワー(Ejovi Nuwere。以下「原告」という。)は、米国政府機関や企業など技術的脅威のマネジメントを必要としている組織への様々なサービスを提供しているSecurityLab Technologies Inc. (セキュリティーラボ・テクノロジーズ)のCTO(最高技術責任者)である(甲3)。
SecurityLab Technologies Inc.のサービス内容は、アプリケーション・ペネトレーション・テスト、アプリケーション・コード・レビュー、製品アセスメント、ネットワーク侵入テスト、および脅威に対する認識の啓蒙とセキュリティ・トレーニングなど多岐にわたっている。
原告は、2003年(平成15年)9月23日〜10月2日及び11月24日〜28日、長野県内の3自治体で行なわれた住基ネット侵入実験を実際に行なった者のひとりである。
(2)被告
総務省は後記国際セミナーの後援する者のひとりであり、被告国は総務省の職員の職務上の行為について、国家賠償法1条1項の責任を負うものである。

2 事実経過
(1)Pacsec(パクセック)
 訴外Pacsec(パクセック)(Pacific Security)実行委員会(以下「訴外実行委員会」という。)は、2004年(平成16年)11月11日及び12日、都内のロイヤルパークホテル(中央区日本橋)内で、コンピュータネットワークセキュリティに関する国際セミナー(以下「本件国際セミナー」という。)を開催し(甲1)、カナダ、フランス、米国、アルゼンチン、日本などから約40人のコンピュータ技術者らが参加した。
 訴外実行委員会は、日本側主催者である株式会社エス・アイ・ディー・シー(Secured Infrastructure Design Corporation。以下「日本側主催者」という。)(甲4)とカナダ側主催者としてドラゴス・ルジュ(Dragos Ruiu。以下「訴外ドラゴス」という。)(甲5)によって運営されていた。

(2)原告の発表予定
 原告は、本件国際セミナーの最終報告者として、12日午後4時から、「Inside Jyukinet:The Audit」(邦題:住基ネットに関する考察)と題して、長野県内の自治体で行なった住基ネット侵入実験でわかった内容に基づいて問題提起をすることになっていた(甲2)。

(3)スライドの提供
 原告は、本件国際セミナー開催の約1ヶ月前である2004年(平成16年)10月上旬、本件国際セミナーの発表のときに使う予定のスライドの英語版(甲7)を本件国際セミナーの主催者を経由して総務省にeメールで送った。
 この内容について、総務省から原告に対して何の反応もなかった。

(4)総務省と日本側主催者の話し合い
 2004年(平成16年)11月9日、総務省は日本側主催者に対して、原告の発表予定内容について話し合いを申し込み、日本側主催者はこれに応じた。
原告はすでに来日しており、同日の話し合いに同席することは可能であったが、事前に総務省からも日本側主催者からも連絡がなく、自分の発表の内容について話し合いが行なわれていることを知らなかった。

(5)11月10日の話し合いと修正版の作成
同月10日、日本側主催者から訴外ドラゴスを経由して原告に日本側主催者の事務所に来るよう連絡があり、原告は同日午後5時過ぎに訴外ドラゴスとともに同事務所を訪ねた。
総務省の者はだれもおらず、日本側が総務省の要求内容を原告に伝えた。
日本側主催者の説明によれば、総務省の要求内容は、スライド内容の修正であった。具体的には、(1)スライドのネットワーク図は住基ネットではない、(2)スライドの中の写真に無線アンテナが写っているが、住基ネットでは無線LANを使用していない、(3)住基カードの発行用コンピュータの操作画面が写っている写真があるが、公表していないものなので、出さないように、(4)「Tools Used」の言葉を除くように、(5)「Systems Compromised」の言葉を除くように、というものだった。
原告は、(1)については、住基ネットの範囲を説明する図面ではなく、自分の作業した範囲を説明する図面として使用するものだ、(2)については、侵入実験の環境が如何に作業に対し困難だったかを説明しようとしたもので、住基ネットが無線LANになっていることを説明するものではない、(3)については、公表されている写真かどうかわからないので、公表しないことにする、(4)については、インターネット上で公表されているツールを使ったという説明をしようとしたもので、具体的な説明をすることは長野県との守秘義務契約に違反するのでやらない、(5)についても、長野県との守秘義務契約があるのですでに公開されたものだけで説明する、と説明した。
原告は、(1)ないし(5)に対応するために、急遽、スライドを作り直し、同日午後8時前、作り直した修正版スライド(甲8−1)をeメールに添付して訴外ドラゴスと日本側主催者に送った。

(6)11日の状況
 11日は総務省からも日本側主催者からも原告に対して何の連絡もなかった。

(7)12日の状況
12日午前8時過ぎ、日本側主催者から原告に、日本側主催者が翻訳した原告のスライドの日本語版(甲8−2)がeメールに添付されて送られてきた。その直後、日本側主催者から原告にeメールが送られてきた。そこには総務省の3人の担当者の氏名(高村・柏木・ウエカリヤ)・電話番号・eメールアドレスが書かれていた。
同日午前中、本国際セミナーの会場で原告は日本側主催者から「総務省に直接、eメールした方がよい」と言われ、午前11時半過ぎ、総務省の3人に、eメールに発表予定の改訂版スライドを添付して、直接の話し合いを申し入れた(甲9)。
 正午過ぎ、総務省から訴外実行委員会あてに、同日午後1時30分から話し合いに応じる旨の連絡があったが、同時刻、原告との話し合いの場には、総務省の者はだれも来ず、本件国際セミナーに参加していた財団法人地方自治情報センター(LASDEC)の訴外佐藤公成(以下「訴外佐藤」という。)(住民基本台帳ネットワークシステム全国センターシステム担当プロジェクトマネージャ)(甲6)が来ただけだった。訴外佐藤は終始、携帯電話をかけたままの状態で、総務省の指示どおりに発言していた。

(8)総務省の要求と発表の断念
 訴外佐藤は、原告が総務省の要求を配慮して作成した修正版スライドの存在を知っていたにもかかわらず、修正版スライドではなく、原告が1ヶ月前に日本側主催者を経由して総務省に提出したスライドを基に話し合いに応じるよう指定し、これらのスライドのうち最後の4枚(「Conclusion」以下)を公表しないよう要求した。これらのスライドを公表してはいけない理由の説明はなかった。訴外佐藤の話は、原告が総務省の指示に全面的に従うか、そうでなければ発表をしてはいけないというものだった。
 原告は、自分が発表しようとしている内容に十分な自信があったが、このまま発表を強行することは本件国際セミナーの運営に混乱を与え、主催者や参加者に多大な迷惑をかけると考え、原告は発表を断念した(甲10)。

3 原告の発表の意義
 原告は、セキュリティ専門家として、長野県内の自治体における侵入実験でわかったことを、長野県に対する守秘義務に違反しない範囲で発表し、改善の提案をし、他のセキュリティ専門家たちと意見交換をしようとしたものである。
コンピュータ・セキュリティに関する脆弱性は、技術的なセキュリティホールの新たな発見もさることながら、セキュリティに関わる人々の意識・知識・行動上の問題も際限なく次々に生じており、それらを早急に解決して行かなければならない。
セキュリティ専門家たちが、実際に日本の住基ネットに関して侵入実験を行なった原告の報告を受け、これに基づいて住基ネットのセキュリティに関して意見交換を行なうことは、住基ネットの実情を技術的立場からよりはっきり知るとともに、住基ネットのセキュリティレベルを更に高めるためにも極めて有意義なことであった。本件国際セミナーがそのような場だからこそ、原告は住基ネット侵入実験に関する自らの体験を報告しようとしたのである。

4 総務省の行為の違法性
これに対して、総務省は、原告の発表の内容を事前に告知されていて、何も異論を述べていなかったにもかかわらず、発表の前々日になって突然、主催者側に原告の発表内容の大幅な変更を求め、発表当日にも直接原告に会って話し合いをしようとせず、何ら合理的な理由がないにもかかわらず、原告に講演内容の大幅な修正を強く迫り、原告が講演をやめざるを得なくしたことは、公権力の行使による原告の表現の自由(憲法21条1項)に対する侵害である。

5 責任
 総務省の前記違法行為は故意によるものであり、被告は、総務省のこのような違法行為に対して国家賠償法1条1項の責任を負うべきである。

6 損害
 総務省の違憲違法な対応により本件国際セミナーでの講演を断念せざるを得なくなったことは、米国政府関係においてもセキュリティに関する能力を極めて高く評価をされている原告にとって、セキュリティ専門家としての表現の自由を否定されただけでなく、セキュリティ専門家としての誇りを著しく蔑ろにされたものであり、その精神的苦痛は甚大であり、金銭に見積もった場合、少なくとも金3000万円を下らない。

7 結論
 よって、請求の趣旨のとおり訴えを提起する。


証 拠 方 法
1 甲第1号証(セミナー開催のお知らせ)
2 甲第2号証(セミナーの日程)
3 甲第3号証(原告の経歴)
4 甲第4号証(名刺)
5 甲第5号証(名刺)
6 甲第6号証(名刺)
7 甲第7号証(最初のスライド)
8 甲第8号証の1,2(修正版スライド)
9 甲第9号証(総務省へのeメール)
10 甲第10号証(新聞記事)

Posted by Gohsuke Takama on November 22, 2004 at 12:30 AM | Permalink

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Tracked on Jan 27, 2005 10:14:14 AM

Comments

住基ネット差し止め訴訟を支援する会と申します。ヌーワー氏提訴に関係して、吉田柳太郎氏の証人尋問(10月15日・東京地裁)詳報を、下記のサイトに掲載しました。ご覧ください。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/jukisosho/torikumi/041015yosida_jinmon.htm

Posted by: 飯島和夫 | Nov 27, 2004 10:56:04 PM

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